2011年02月26日
偏心
建物の重心(重さの中心点)と剛心(強さの中心点)がずれていることを
「偏心している」と言う。
一般住宅では重心と剛心がピタリと同位置にあることは極めて稀で、又
神経質になる必要も無いが、なるべく近い位置になるように設計すること
が肝要だ。
今回N.Z.・クライストチャーチで起きた大地震で、エレべーターの回りだ
けを残して崩壊したビルは、この偏心が大きかったと言うのが、専門家の
意見の一致するところ。
鉄骨造りはラーメン構造(食べるラーメンとは関係ありません・笑)と言って
柱と梁を剛接合し動かないようにするので、住宅で言う「耐力壁」は不要
だが、この崩壊した建物は柱が細いなど、基本的な構造に問題があった
のかもしれない。エレベーターの周囲に柱が多かっとことで剛心が大きく
エレベーター側にずれ、弱かった反対側が大きく揺れることによって歪が
集中、崩壊に至ったと思われる。
我々が手掛ける住宅も、今では偏心率をCADで計算しているし、建築基
準法でもガイドラインがあるが、かつては残念ながら、その辺りの意識が
皆低かったし建築基準法もザルだった。
偏心率を小さくするカギは平面図の南側の壁量(特に1階)。日当たりの
良い南側は窓を大きくとりたいし、LD等大きな部屋を配置したいもの。そ
うすると必然的に壁が少なくなる。それに比べ北側は、トイレ、浴室など
多くの壁で小分けにされている。だから南側にバランス良く壁を設けられ
るかがポイントとなる。「プラン的には、ここに壁をつけたくない」と言うこと
もあるとは思うが、他の壁をその分強固にして代用するのも限度がある。
そして付け加えると、沢山ある程程に強い壁の方が、少しかない強固な
壁より耐震的には有利と言われている(計算上同じ耐力であっても。一
部の材料に余計な負担がかかりますしね)。
気にしすぎるととプラン造りも楽しくないので、我々にお任せ頂ければOK
ですが、「ここには壁があった方が良いです」と申し上げるのは、この偏心
率を改善するために言わせて頂いている、とご理解頂ければ幸いである。
それにしても今回の地震は痛ましいです。今は一つでも多くの命が救われ
ることを祈るのみです。
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千葉/工務店/注文住宅/玉川ハウジング
投稿者 tamagawa : 2011年02月26日 17:11