2007年11月26日
三澤さん
ミサワホーム創業者の三澤千代治氏が、「ハビタ」と言う新しい住宅ブランドを立ち上
げた。当社にも、参加しないかと言う案内がよく来る。プレハブ住宅で、徹底的な合理
化住宅を手がけてきた人が、民家風の木造住宅をやろうというのには正直、違和感を
感じます。
かつての三澤氏と言えば、住宅業界のカリスマとして、「神」のように崇められていた
方です。しかし自身で創業された「ミサワホーム」が、業績不振で、350億円という巨
額の債務を銀行に放棄してもらい、現在再建中で(トヨタが買ったとか?)、三澤氏は、
現経営陣から追い出された格好になってしまいました。
「日経ホームビルダー」に三澤氏の話が出ていたのでご紹介します。70を目前にして
新しいことを始めようとするあたり、凄いバイタリティーのある方だなぁ、と尊敬する反
面、今までの主張をころっと翻すあたり、なかなかの商売人というか、何と言うか・・・。
三澤氏曰く
『大手ハウスメーカーのビジネスモデルはもう古い。販売経費はかかる、広告宣伝費
もかかる、物流費も、本社経費も。だいたい大手ハウスメーカーの社員の半分はセー
ルスマンなんです。彼らは家を造るということに関しては何の役にも立っていない。あ
のままでは会社が伸びるどころか縮小する一方だと思います。』
・・・・なるほど規格住宅を扱うプレハブいメーカーは「家を売る」と言う感覚なんですね。
じゃ無ければ「セールスマン」と言う言葉は出てきません。我々が日常行う営業活動
とは、お客様の希望や敷地・予算等の様々な条件の中で、いかに満足いく住まいが
出来るかを提案・相談していくことです。勿論最終的にはご契約を頂くことを目指して
いますが、物売りの「セールスマン」的発想で、住まい造りは出来ません。
『昔ミサワホームで経費を表に出そうとしたこともあるんです。でも原価に上乗せして
おいて、それを後で削る方が、お客さんは値引きしてもらったような気分になる。載
せてあったものを引くだけだから安くなったわけではないんだけれど、お客さんはそ
れで納得してしまうんですね。だから営業サイドでは、どんどんそっちの方へ行って
しまう。それはもう、経営者の意識の問題で、どこまでコントールできるかなんです。
ミサワホームの時は無理でした。』
・・・・・・これは長らく住宅業界の常套手段でした。いまだにハウスメーカーでは多い
と思います。正直「高いものを安く買って得をしよう」と思うお客様にも問題がありま
す。例えば我々作った1800万円のお見積もりに対し、某ハウスメーカーが作った見
積もりが2500万円だったとします。勿論図面や仕様の細部までが全く同じというわ
けではありませんから単純な比較は出来ませんが。「やっぱり大手はネームバリュー
がある分高いねー。(本当は経費がかかるから高いんですが・笑)」などと言って、諦
めていた人が、突然の大幅値引き(例えば2500万円⇒2100万円に!)に動揺し
400万も得するのか?とスケベ心が出てきます。中には「玉川さんも400万引け」な
どとのたまう人も。そんな時は「お客様を騙すような見積もり造ってません」と答えま
す。「当たり前でしょう?こっちは最初から正々堂々と価格公開してるんですよ。人の
顔色見ながら金額調整するどこそこと一緒にしないでくれ!」と叫びたくなります。
まぁ大方の人は、我に帰って冷静になり、落ち着くのですが、1,2年に一人くらいは、
「400万円もお得!」と言いながら我々の元を去って行きます(苦笑)。こういう人が
いる限り「見積もり金額ふかしーの、大幅値引きしーの」という風潮はなくなりません。
需要と供給の関係で成り立つ自由主義経済の世の中ですからね。でもそういうことが
出来ない人間もいることを覚えておいて欲しいのです。
長文になってしまった・・・失礼致しました。
投稿者 tamagawa : 2007年11月26日 17:30